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打ち上げパーティー②
「蓮っ、確かにパートナーの申し込みをしてから今日までキョーコちゃんと連絡は取れていないけどなっ」
「……」
「前の撮影が相手役女優のNG連発で長引いて苛ついてる事もわかってる」
「だったら黙ってて下さいよ」
「黙ってられるかぁぁぁっ! ここは高速道路じゃないしっ! 100キロ近い速度で飛ばしていい所じゃないっ! って今の赤信号だったぞっ!」
「黙ってないと舌噛みますよ?」
「だぁぁぁぁっ、ドリフトで曲がるなぁっ!」
最上さんとはあの日から一切連絡が取れずにいる。考えたくないがその間に不破か村雨のどちらかが最上さんのパートナーの座を奪っているかも知れない……
そう考えると一刻も早くパーティー会場に行って、最上さんを捕まえなくては!という焦りが沸いて来てしまう。いや、誰が隣にいようがそいつを蹴散らして、必ず彼女をこの手に捕まえる。
彼女にドレスを着せるのも、パートナーとしての位置を手に入れるのも、この俺だ!
誰にも譲るつもりはないっ!
パーティー会場の駐車場に車をつけ、途中から静かになった助手席を見ると、社さんが真っ青な顔で泡を食らっていた。さすがにやりすぎたか……
*****
水分補給で無理矢理に復活して貰ったものの、未だ千鳥足の社さんを引き摺る様に会場へ入った。
「DMの打ち上げも凄かったけど、こっちはセットみたいで凄いな」
「そうですね。面白い趣向ですね」
「って言いながら、目は全くセットにむいてないんだけど、蓮くん?」
「……それは否定しません」
ぐるりと周りを見渡すと不破と村雨の姿が見えた。更に見渡すと天宮さんがいたので、情報収集する事にした。
「こんばんは天宮さん、今日は綺麗だね」
「こんばんは、敦賀さん。私に媚びを売っても何もでませんよ。『ナツ』も別行動ですし」
「別? ナツは誰と来たの?」
「は? それはご自分で確かめるべきでは? 時間ですから私はもう行きますので失礼します」
…雨宮さんからの情報収集はうまくいかなかった。ラブミー部員達には、誉め言葉と言うものが全く通じないということを改めて痛感させられただけだった。
俺の想いがばれていることもわかったが、協力してくれる気配は皆無の様だ。
同じラブミー部員なのに、どうして本人だけが気づいてくれないんだろう……
不破と村雨の敵意剥き出しの視線を感じて見返せば、彼らのそばに最上さんがいない事が解り、パートナーになっていない事にほっとした。
しかし、先日の駐車場でのやり取りでは焦ってお互いに盗られたくないばかりに視線で火花を散らして牽制したのに、邪魔者と言える彼らは一向に懲りていない。
その隙に最上さんには逃げられてしまったのだ。
だから今度こそ……
『『『彼女の相手の席はお前達には絶対に譲れない!』』』
*****
ステージ上に出演者が集まる中、確かに天宮さんの言う通り最上さんの姿が見あたらない。
最上さん、ここではナツか。その姿が見えないのが不安で堪らない。
スッといきなり会場の照明が絞られ、二本のランウェイにスポットライトがあたり、片方の入口から主演の女優が出てきた。
と言うことは……慌ててもう片方の入口を見た。間違いなく彼女はあそこにいるはずだ。
扉が開きそこから出てきた『ナツ』を見て、俺は彼女の才能への嫉妬と独占欲で頭が焦げそうになった。
俺が伝授した彼女のモデルウォークは完璧だった。
紅のドレスは大胆ながらも彼女の白い躯を引き立て、スリットから覗く脚を含め艶やかな魅力に溢れていた。
時々落とす僅かな微笑みが魔性の様に魅力的で、今すぐジャケットで覆ってここから連れ出したい気分だった。
誰だっ、あんな露出度の高いドレスを彼女に贈ったのはっ!
俺の黒い雰囲気を察知したのか、彼女は俺の前をスルーしてステージへ行ってしまった。
悔しいがここで微笑まれたら、本当に君を拐ってしまうかもしれない……
「蓮……お前、余裕なさ過ぎ」
「わかってますよ、俺だって」
「だから逃げられてんじゃねーか」
いきなり割り込んだ第三者の声にびっくりして後ろを向いて……更にびっくりした。
「どうしたんですか、社長。その……普通のスーツは?」
「これが今日の衣装だ。ザ・できる男。どうだ?」
「っていうか、なぜここに?」
「最上君のドラマ成功パーティーに来たわけだが? 前回は気付かれず失敗したからな」
ああ、あのエジプトの置物の中に入って参加した時だな。
「で、今回はつてを頼ったら、これが衣装だと渡されたわけでな」
「「はぁ」」
っていうか、社長なら顔だけで入れるんじゃ……
「ついパーティーと言われると騒ぎたくなるからな。他の奴に連れてきて貰う方が俺自身抑えが効いていい。ところで最上君が貴島君に捕まっているが構わないのか?」
「構うに決まってるじゃないですか!!ああ、くそっ!!ちょっと行ってきます!社長のせいで出遅れたんですから、彼女との事、協力して貰いますよ」
「おーおー、行ってこいや」
最上さんの所についた時には貴島に手をかけられる一歩手前。不破や村雨と同時に貴島に食ってかかる羽目になったが、ナツはそれを楽しそうに眺めていた。
*****
「だからそんなつもりじゃないって何度言ったら君達はわかるのかな?」
「わかるわけないだろう! 今までにも君は最上さんに携帯番号を聞いたりしてたしね」
「何だと!? 人のもんに変な手垢付けてんじゃねぇ」
「「「彼女は君のもんじゃないっ!」」」
歳も身長もそして男としての格付けも上の三人から見下されて言われた尚は地団太を踏みながらその場から去っていった。
三人の一喝は尚にとって一番大事なプライドを粉々に砕くのに充分すぎる力があった。
残った三人がいきなり去った尚を目で追うと、会場のゴミ箱などを蹴りながら歩いていく姿が見えたが、途中で警備員が集まってきて怒鳴り合いになり、果てには警備員に羽交い締めにされ、会場から強制退去させられて行った。
呆れながら見ていた三人だったが、貴島が残る二人に本題を投げ掛けた。
「大体、村雨君は何で京子ちゃんを追いかけてるんだい?敦賀君は彼女と同じ事務所だしなんとなくわかるけど」
「将来ハリウッドで活躍する俺の横にいるにふさわしい女だと思うからね」
もしかしてコイツは痛い奴か?・・・・・・と、その答えに呆れながら貴島と顔を見合わせた時、司会者の声が巨大スクリーンから響いた。
「さて、今から両手に華・・・というか素敵な男性を従えたナツさんにお話をお聞きするとしましょう」
スクリーンを見てみると、いつの間にか俺たちの側から姿を消していたナツが、インタビューエリアで男達に向き合いながら艶やかに微笑んでいた。
ナツと一緒にいる男を、日本にいる筈のない二人に思わず生の映像か疑ってしまった。
「皇貴さんっ? マイクっ?」
「えっ? あれ、誰?」
「ごめんっ! また会う機会があったら説明するよ!」
慌てて社長の姿を探して戻る。そう、考えてみれば社長の衣装はアルマンディのスーツだ。
と言うことは、社長を招待したのはマイク。
ではなぜマイクがこの打ち上げに来たのか?
「こちらはマイク・ディランディ、アルマンディのチーフデザイナーです。こちらはLMEの宝田皇貴さん、副社長さんと言ってもよろしいのかしら?」
司会者の前で英語でナツとマイクは話をしている。
もしかしてあのドレスはマイクが贈ったのか?
「ええと……ナツさん、よろしいですか?」
「あら、ごめんなさい。マイクがパーティーを楽しみたいと言うもんですから。さっきお尻触られて頭からマティーニかけちゃったのに」
マイクっ! いつかマティーニのプールに沈めてやるっ! 後で覚えておけっ!
「ナツさんの魅力は何にも変えがたい何かがあるんですかねぇ」
「ありがとう、嬉しいわ。お兄さんとも遊んでみる?」
「ええっ……と、それは……」
「ナツ、ちょっとお遊びが過ぎますよ。今日のあなたには大事な事がある、そうですよね?」
本気で狼狽える司会者を見て、皇貴さんが救いの手を差しのべた。
イタズラっぽく皇貴を見るナツを見て、慌てて司会者は皇貴に向き直ると答えを待った。
「あら、怒った? だって楽しい事したいもの。はい、副社長」
ちゅ、とナツは渡すマイクに軽くキスを落とした。
その僅かな事が司会者も含め、男どもの視線を一身に集め、俺の心を黒く染めていく。
「ナツには勝てませんね。まぁ、私達をこの場に呼び寄せた張本人のようなものですからね。さて!私とマイクが今ここにいるわけは・・・・・・・・・・ナツがアルマンディのレディース部門立ち上げの際の専属モデルに決定したからです!私達はその契約確認の為にここにいます」
会場全体がその発表の重大さにどよめき、記者達は携帯片手に走り、カメラマンは3人のショットを何度も撮っている。
皇貴さんとマイクがこの打ち上げに来ていたのは、ナツからの招待と言う訳だったのか?
これじゃまるで打ち上げジャックだね、ナツ。
そして俺はというと……これで彼女との接点が一つ多くなったと心の中でガッツポーズしたい気分だった。
と、後ろから頭をこつんと叩かれた。
「馬鹿者が。考えていることが駄々漏れだ」
「社長! 知ってたなら教えてくれたって……」
「明らかに小さな幸せに喜びを感じています、って顔をされて歩かれたら堪らん。大体お前と絡むかどうかもわからんのに、よくそこまで先走れるな?」
「放って置いて下さい!」
先輩としてまたアドバイスしたり、一緒に撮影に行ったり……
俺の頭はその小さな幸せにフル回転していたのだった。
第7話へ続く
__
ムフフぅ~~~~~社笑いで次もお待ちしますわよぉ
皆さんもそう思いませんこと?
「蓮っ、確かにパートナーの申し込みをしてから今日までキョーコちゃんと連絡は取れていないけどなっ」
「……」
「前の撮影が相手役女優のNG連発で長引いて苛ついてる事もわかってる」
「だったら黙ってて下さいよ」
「黙ってられるかぁぁぁっ! ここは高速道路じゃないしっ! 100キロ近い速度で飛ばしていい所じゃないっ! って今の赤信号だったぞっ!」
「黙ってないと舌噛みますよ?」
「だぁぁぁぁっ、ドリフトで曲がるなぁっ!」
最上さんとはあの日から一切連絡が取れずにいる。考えたくないがその間に不破か村雨のどちらかが最上さんのパートナーの座を奪っているかも知れない……
そう考えると一刻も早くパーティー会場に行って、最上さんを捕まえなくては!という焦りが沸いて来てしまう。いや、誰が隣にいようがそいつを蹴散らして、必ず彼女をこの手に捕まえる。
彼女にドレスを着せるのも、パートナーとしての位置を手に入れるのも、この俺だ!
誰にも譲るつもりはないっ!
パーティー会場の駐車場に車をつけ、途中から静かになった助手席を見ると、社さんが真っ青な顔で泡を食らっていた。さすがにやりすぎたか……
*****
水分補給で無理矢理に復活して貰ったものの、未だ千鳥足の社さんを引き摺る様に会場へ入った。
「DMの打ち上げも凄かったけど、こっちはセットみたいで凄いな」
「そうですね。面白い趣向ですね」
「って言いながら、目は全くセットにむいてないんだけど、蓮くん?」
「……それは否定しません」
ぐるりと周りを見渡すと不破と村雨の姿が見えた。更に見渡すと天宮さんがいたので、情報収集する事にした。
「こんばんは天宮さん、今日は綺麗だね」
「こんばんは、敦賀さん。私に媚びを売っても何もでませんよ。『ナツ』も別行動ですし」
「別? ナツは誰と来たの?」
「は? それはご自分で確かめるべきでは? 時間ですから私はもう行きますので失礼します」
…雨宮さんからの情報収集はうまくいかなかった。ラブミー部員達には、誉め言葉と言うものが全く通じないということを改めて痛感させられただけだった。
俺の想いがばれていることもわかったが、協力してくれる気配は皆無の様だ。
同じラブミー部員なのに、どうして本人だけが気づいてくれないんだろう……
不破と村雨の敵意剥き出しの視線を感じて見返せば、彼らのそばに最上さんがいない事が解り、パートナーになっていない事にほっとした。
しかし、先日の駐車場でのやり取りでは焦ってお互いに盗られたくないばかりに視線で火花を散らして牽制したのに、邪魔者と言える彼らは一向に懲りていない。
その隙に最上さんには逃げられてしまったのだ。
だから今度こそ……
『『『彼女の相手の席はお前達には絶対に譲れない!』』』
*****
ステージ上に出演者が集まる中、確かに天宮さんの言う通り最上さんの姿が見あたらない。
最上さん、ここではナツか。その姿が見えないのが不安で堪らない。
スッといきなり会場の照明が絞られ、二本のランウェイにスポットライトがあたり、片方の入口から主演の女優が出てきた。
と言うことは……慌ててもう片方の入口を見た。間違いなく彼女はあそこにいるはずだ。
扉が開きそこから出てきた『ナツ』を見て、俺は彼女の才能への嫉妬と独占欲で頭が焦げそうになった。
俺が伝授した彼女のモデルウォークは完璧だった。
紅のドレスは大胆ながらも彼女の白い躯を引き立て、スリットから覗く脚を含め艶やかな魅力に溢れていた。
時々落とす僅かな微笑みが魔性の様に魅力的で、今すぐジャケットで覆ってここから連れ出したい気分だった。
誰だっ、あんな露出度の高いドレスを彼女に贈ったのはっ!
俺の黒い雰囲気を察知したのか、彼女は俺の前をスルーしてステージへ行ってしまった。
悔しいがここで微笑まれたら、本当に君を拐ってしまうかもしれない……
「蓮……お前、余裕なさ過ぎ」
「わかってますよ、俺だって」
「だから逃げられてんじゃねーか」
いきなり割り込んだ第三者の声にびっくりして後ろを向いて……更にびっくりした。
「どうしたんですか、社長。その……普通のスーツは?」
「これが今日の衣装だ。ザ・できる男。どうだ?」
「っていうか、なぜここに?」
「最上君のドラマ成功パーティーに来たわけだが? 前回は気付かれず失敗したからな」
ああ、あのエジプトの置物の中に入って参加した時だな。
「で、今回はつてを頼ったら、これが衣装だと渡されたわけでな」
「「はぁ」」
っていうか、社長なら顔だけで入れるんじゃ……
「ついパーティーと言われると騒ぎたくなるからな。他の奴に連れてきて貰う方が俺自身抑えが効いていい。ところで最上君が貴島君に捕まっているが構わないのか?」
「構うに決まってるじゃないですか!!ああ、くそっ!!ちょっと行ってきます!社長のせいで出遅れたんですから、彼女との事、協力して貰いますよ」
「おーおー、行ってこいや」
最上さんの所についた時には貴島に手をかけられる一歩手前。不破や村雨と同時に貴島に食ってかかる羽目になったが、ナツはそれを楽しそうに眺めていた。
*****
「だからそんなつもりじゃないって何度言ったら君達はわかるのかな?」
「わかるわけないだろう! 今までにも君は最上さんに携帯番号を聞いたりしてたしね」
「何だと!? 人のもんに変な手垢付けてんじゃねぇ」
「「「彼女は君のもんじゃないっ!」」」
歳も身長もそして男としての格付けも上の三人から見下されて言われた尚は地団太を踏みながらその場から去っていった。
三人の一喝は尚にとって一番大事なプライドを粉々に砕くのに充分すぎる力があった。
残った三人がいきなり去った尚を目で追うと、会場のゴミ箱などを蹴りながら歩いていく姿が見えたが、途中で警備員が集まってきて怒鳴り合いになり、果てには警備員に羽交い締めにされ、会場から強制退去させられて行った。
呆れながら見ていた三人だったが、貴島が残る二人に本題を投げ掛けた。
「大体、村雨君は何で京子ちゃんを追いかけてるんだい?敦賀君は彼女と同じ事務所だしなんとなくわかるけど」
「将来ハリウッドで活躍する俺の横にいるにふさわしい女だと思うからね」
もしかしてコイツは痛い奴か?・・・・・・と、その答えに呆れながら貴島と顔を見合わせた時、司会者の声が巨大スクリーンから響いた。
「さて、今から両手に華・・・というか素敵な男性を従えたナツさんにお話をお聞きするとしましょう」
スクリーンを見てみると、いつの間にか俺たちの側から姿を消していたナツが、インタビューエリアで男達に向き合いながら艶やかに微笑んでいた。
ナツと一緒にいる男を、日本にいる筈のない二人に思わず生の映像か疑ってしまった。
「皇貴さんっ? マイクっ?」
「えっ? あれ、誰?」
「ごめんっ! また会う機会があったら説明するよ!」
慌てて社長の姿を探して戻る。そう、考えてみれば社長の衣装はアルマンディのスーツだ。
と言うことは、社長を招待したのはマイク。
ではなぜマイクがこの打ち上げに来たのか?
「こちらはマイク・ディランディ、アルマンディのチーフデザイナーです。こちらはLMEの宝田皇貴さん、副社長さんと言ってもよろしいのかしら?」
司会者の前で英語でナツとマイクは話をしている。
もしかしてあのドレスはマイクが贈ったのか?
「ええと……ナツさん、よろしいですか?」
「あら、ごめんなさい。マイクがパーティーを楽しみたいと言うもんですから。さっきお尻触られて頭からマティーニかけちゃったのに」
マイクっ! いつかマティーニのプールに沈めてやるっ! 後で覚えておけっ!
「ナツさんの魅力は何にも変えがたい何かがあるんですかねぇ」
「ありがとう、嬉しいわ。お兄さんとも遊んでみる?」
「ええっ……と、それは……」
「ナツ、ちょっとお遊びが過ぎますよ。今日のあなたには大事な事がある、そうですよね?」
本気で狼狽える司会者を見て、皇貴さんが救いの手を差しのべた。
イタズラっぽく皇貴を見るナツを見て、慌てて司会者は皇貴に向き直ると答えを待った。
「あら、怒った? だって楽しい事したいもの。はい、副社長」
ちゅ、とナツは渡すマイクに軽くキスを落とした。
その僅かな事が司会者も含め、男どもの視線を一身に集め、俺の心を黒く染めていく。
「ナツには勝てませんね。まぁ、私達をこの場に呼び寄せた張本人のようなものですからね。さて!私とマイクが今ここにいるわけは・・・・・・・・・・ナツがアルマンディのレディース部門立ち上げの際の専属モデルに決定したからです!私達はその契約確認の為にここにいます」
会場全体がその発表の重大さにどよめき、記者達は携帯片手に走り、カメラマンは3人のショットを何度も撮っている。
皇貴さんとマイクがこの打ち上げに来ていたのは、ナツからの招待と言う訳だったのか?
これじゃまるで打ち上げジャックだね、ナツ。
そして俺はというと……これで彼女との接点が一つ多くなったと心の中でガッツポーズしたい気分だった。
と、後ろから頭をこつんと叩かれた。
「馬鹿者が。考えていることが駄々漏れだ」
「社長! 知ってたなら教えてくれたって……」
「明らかに小さな幸せに喜びを感じています、って顔をされて歩かれたら堪らん。大体お前と絡むかどうかもわからんのに、よくそこまで先走れるな?」
「放って置いて下さい!」
先輩としてまたアドバイスしたり、一緒に撮影に行ったり……
俺の頭はその小さな幸せにフル回転していたのだった。
第7話へ続く
__
ムフフぅ~~~~~社笑いで次もお待ちしますわよぉ
皆さんもそう思いませんこと?
PR
打ち上げパーティー①
二本のランウェイがパッと照明に照らされ、司会者から合図が送られてくる。
「それでは最後まで争いあった二人に登場していただきましょう!」
初めにスポットライトが当たった所から留美が手を振りながらフリフリの淡い緑のドレスを揺らしながら登場してきた。
薄く開いた扉から会場の熱気が伝わってくる。自分の格好の恥ずかしさと緊張にナツがなかなか入っていかない。そして留美は舞台に立つと、もう一方の入口を指差し叫んだ。
『ナツ! あなたには負けないわよ!』
その台詞を合図に扉が開き、ナツが私に憑くのがわかる。
さあ、楽しみに行くわよ。
カツン コツン
ヒールを響かせてモデルウォークで舞台を目指して歩いていく。それまで聞こえていた話し声がほとんど聞こえなくなったのが気になったけど、歩きながら所々で見知った顔に軽く会釈と笑みを交わした。
舞台近くまで行くと先日パートナーの件で揉め事を起こした3人の顔も見えたが、そこに笑みは落とさなかった。
『ちとせ、だってあなたは何より強い物を持っているじゃない』
そう言って軽く留美とハグをしてからナツ組3人の所へ行ってみると、ツグミが興奮した顔をしていた。カオリに小声で尋ねてみるとなるほどな答えが返ってきた。
(どうしたの、ツグミ?)
(凄いドレス、さすが我らがナツね。ツグミはあの3人に過剰反応してるのよ)
(そっか。ちょっと遊ぼうかな。楽しそうだし?)
(ナツ!?)
(やめといた方がいいと思いますよ。舞台上から見ててずっと火花散りっぱなしでしたから)
でもナツ魂を憑けてしまった私にはその暴走を抑えることができない。男の目にこのドレスがどう写っているのかしら? とワクワクしてしまう。
「それではご歓談下さい。出演者には個々にインタビューに伺います」
ステージを降りた私の足は既に3人のいる方向へと向かっていた。このドレスを選んだときの事を思い出しながら。
*****
「いつもすいません、ご迷惑おかけして」
「何言ってんの! キョーコちゃんが必死に頼んで来るんだもの。そこは私が何とかしてあげなきゃ!って思うじゃない!!」
自分でも衣装について考えたが、ナツの最後を飾るにふさわしい衣装は思いつかず、ミューズに連絡を取ったのだ。
「カリスマ女子高生役だから大人ぶっちゃってもOKって事よね。じゃあ私が見立てた物を素直に着てくれるわね。あの時みたいに尻込みしないわよね、勿論?」
「勿論です! あれで結構なんでもありになりましたから」
雪花の衣装はこれでもかっ、というくらい布面積が少なかったから、少々切り込みの多いドレスでも何ともなくなってしまった。慣れって怖いわ……と思いつつ連れて行かれたブティックで安請け合いした事を盛大に反省する羽目に陥った。
「キョーコちゃんのドレスだけど……うん、これがいいわっ!」
「えええっ、いや……あの、それはっっ」
「文句言わず着てくれるのよね?」
「ぐっ」
たっ、確かに言いましたよ!
ドレスもすっごく素敵ですよ?
綺麗な紅の薔薇のコサージュが肩を飾ってるところなんて、とても美しいと思いますよ。私も着てみたいなぁ……なんて、ちょっと思っちゃったりなんかしちゃったりしましたよ?
前ざっくり、背中も大胆に開いて、脚もかなり上までスリットが入っていなければっ!
ミューズ! こういうのはもっと豊満な方用なのではっ!貧相な胸をどうしたらいいんですかぁぁぁぁっ!!!
「あら、それなら大丈夫よ、ちゃんとブラあるし。ヌーブラと併用でね。まさかダメとか言わないわよね?」
「ででででもっ」
「大丈夫、ドレスは相応しい人に着て見られて初めてその美しさが発揮されるの。私の美的センスを疑うの?」
女神で魔女のミューズの手で全て完璧にカリスマナッちゃんへの準備がされすぎて、頭がくらくらとしてしまい否定の言葉も出なかった。
当日が怖すぎるからぁぁぁっっ!
*****
3人の元へ行く途中、肩を叩かれ振り返ると貴島さんがいた。3人を見ればそれぞれ女優やら監督やらスタッフに囲まれているので、ここで少し遊んじゃおう。
「京子ちゃん、今回もまた別の大人美人さんになったねぇ」
「ありがとうございます。前回は貴島さんに遊ばれちゃいましたからね」
「いやぁ、あそこまで大人美人になるとは本当にびっくりだったけど、今回の京子ちゃんも俺のどストライクだ」
またこの人はいつも調子がいい。ちょっとナツ流に遊んであげようか。3人に背中を向けて貴島さんに軽く微笑んだ。
「あら、そうなんですか? そういう貴島さんも今日は素敵ですね」
「ありがとう、また君のパートナーに立候補してもいいかな?」
「そうですね、ちょっと耳貸して貰っていいですか」
「ん、何?」
ちょっと屈んで私の腰に手を回す一連のしぐさは、あるアクションを思わせる。
「今日も厳しい事務所のお目付け役がいるんです」
「ああ、なるほどね」
ああ、怨キョが踊り狂ってる。近づいてきてるんだわ。凄い勢いで近づいてきた足音が三つ、近くで止まった。
「貴島君、うちの可愛い後輩に何をしてるのかな?」
「てめぇ、キョーコに何してんだよ!」
「返答によっちゃぁ拳で語り合ってもいいんだけど?」
貴島さんのひきつった顔を見て思わず笑みがこぼれてしまった。
さあ、パーティーは始まったばかり!楽しいのはこれからよ。
6話へ続く
超素敵ぃ❤と思いませんこと?
なんてスンバらしいのでございましょうかぁ
と大絶賛のピーチです。
この次のも楽しみですわぁ
二本のランウェイがパッと照明に照らされ、司会者から合図が送られてくる。
「それでは最後まで争いあった二人に登場していただきましょう!」
初めにスポットライトが当たった所から留美が手を振りながらフリフリの淡い緑のドレスを揺らしながら登場してきた。
薄く開いた扉から会場の熱気が伝わってくる。自分の格好の恥ずかしさと緊張にナツがなかなか入っていかない。そして留美は舞台に立つと、もう一方の入口を指差し叫んだ。
『ナツ! あなたには負けないわよ!』
その台詞を合図に扉が開き、ナツが私に憑くのがわかる。
さあ、楽しみに行くわよ。
カツン コツン
ヒールを響かせてモデルウォークで舞台を目指して歩いていく。それまで聞こえていた話し声がほとんど聞こえなくなったのが気になったけど、歩きながら所々で見知った顔に軽く会釈と笑みを交わした。
舞台近くまで行くと先日パートナーの件で揉め事を起こした3人の顔も見えたが、そこに笑みは落とさなかった。
『ちとせ、だってあなたは何より強い物を持っているじゃない』
そう言って軽く留美とハグをしてからナツ組3人の所へ行ってみると、ツグミが興奮した顔をしていた。カオリに小声で尋ねてみるとなるほどな答えが返ってきた。
(どうしたの、ツグミ?)
(凄いドレス、さすが我らがナツね。ツグミはあの3人に過剰反応してるのよ)
(そっか。ちょっと遊ぼうかな。楽しそうだし?)
(ナツ!?)
(やめといた方がいいと思いますよ。舞台上から見ててずっと火花散りっぱなしでしたから)
でもナツ魂を憑けてしまった私にはその暴走を抑えることができない。男の目にこのドレスがどう写っているのかしら? とワクワクしてしまう。
「それではご歓談下さい。出演者には個々にインタビューに伺います」
ステージを降りた私の足は既に3人のいる方向へと向かっていた。このドレスを選んだときの事を思い出しながら。
*****
「いつもすいません、ご迷惑おかけして」
「何言ってんの! キョーコちゃんが必死に頼んで来るんだもの。そこは私が何とかしてあげなきゃ!って思うじゃない!!」
自分でも衣装について考えたが、ナツの最後を飾るにふさわしい衣装は思いつかず、ミューズに連絡を取ったのだ。
「カリスマ女子高生役だから大人ぶっちゃってもOKって事よね。じゃあ私が見立てた物を素直に着てくれるわね。あの時みたいに尻込みしないわよね、勿論?」
「勿論です! あれで結構なんでもありになりましたから」
雪花の衣装はこれでもかっ、というくらい布面積が少なかったから、少々切り込みの多いドレスでも何ともなくなってしまった。慣れって怖いわ……と思いつつ連れて行かれたブティックで安請け合いした事を盛大に反省する羽目に陥った。
「キョーコちゃんのドレスだけど……うん、これがいいわっ!」
「えええっ、いや……あの、それはっっ」
「文句言わず着てくれるのよね?」
「ぐっ」
たっ、確かに言いましたよ!
ドレスもすっごく素敵ですよ?
綺麗な紅の薔薇のコサージュが肩を飾ってるところなんて、とても美しいと思いますよ。私も着てみたいなぁ……なんて、ちょっと思っちゃったりなんかしちゃったりしましたよ?
前ざっくり、背中も大胆に開いて、脚もかなり上までスリットが入っていなければっ!
ミューズ! こういうのはもっと豊満な方用なのではっ!貧相な胸をどうしたらいいんですかぁぁぁぁっ!!!
「あら、それなら大丈夫よ、ちゃんとブラあるし。ヌーブラと併用でね。まさかダメとか言わないわよね?」
「ででででもっ」
「大丈夫、ドレスは相応しい人に着て見られて初めてその美しさが発揮されるの。私の美的センスを疑うの?」
女神で魔女のミューズの手で全て完璧にカリスマナッちゃんへの準備がされすぎて、頭がくらくらとしてしまい否定の言葉も出なかった。
当日が怖すぎるからぁぁぁっっ!
*****
3人の元へ行く途中、肩を叩かれ振り返ると貴島さんがいた。3人を見ればそれぞれ女優やら監督やらスタッフに囲まれているので、ここで少し遊んじゃおう。
「京子ちゃん、今回もまた別の大人美人さんになったねぇ」
「ありがとうございます。前回は貴島さんに遊ばれちゃいましたからね」
「いやぁ、あそこまで大人美人になるとは本当にびっくりだったけど、今回の京子ちゃんも俺のどストライクだ」
またこの人はいつも調子がいい。ちょっとナツ流に遊んであげようか。3人に背中を向けて貴島さんに軽く微笑んだ。
「あら、そうなんですか? そういう貴島さんも今日は素敵ですね」
「ありがとう、また君のパートナーに立候補してもいいかな?」
「そうですね、ちょっと耳貸して貰っていいですか」
「ん、何?」
ちょっと屈んで私の腰に手を回す一連のしぐさは、あるアクションを思わせる。
「今日も厳しい事務所のお目付け役がいるんです」
「ああ、なるほどね」
ああ、怨キョが踊り狂ってる。近づいてきてるんだわ。凄い勢いで近づいてきた足音が三つ、近くで止まった。
「貴島君、うちの可愛い後輩に何をしてるのかな?」
「てめぇ、キョーコに何してんだよ!」
「返答によっちゃぁ拳で語り合ってもいいんだけど?」
貴島さんのひきつった顔を見て思わず笑みがこぼれてしまった。
さあ、パーティーは始まったばかり!楽しいのはこれからよ。
6話へ続く
超素敵ぃ❤と思いませんこと?
なんてスンバらしいのでございましょうかぁ
と大絶賛のピーチです。
この次のも楽しみですわぁ
打ち上げパーティーのパートナー争奪戦
幸せの押し売り・・・・キョーコサイド 後編
世間一般ではなんて幸せな構図なのだろう?
地味で色気のない私に対して、パーティーに着るドレスを巡って口論をする男達がわんさとあらわれるとは思わなかった。
そんな価値など私にはあると思えないのに・・・・。
綺麗なドレスが着れて、ナッちゃんとして大人美人になれることはとてもうれしい。
だけど、純潔をつらぬくと言った以上、パートナーを作って良いものか解らないでいる。
駐車場では依然牽制しあう二人と、そこに更に村雨も加わっていた。
ナツは、その様子を冷ややかに微笑みながらその男達を見つめていた。
「何で敦賀さんが、こいつのパートナーになることになってんだよ?関係ねぇ~だろ?」
「いや関係なくないね?仮にも、LMEの事務所の先輩だし後輩の面倒を見るのは普通だろう?それに、ナツのモデルのウォーキングを手取り足取り家で教えたからね?」
「なっ!?」
「お前だって関係ない筈だ・・・・お前はBOX’Rに出演していない」
「敦賀さんには関係ないのでね?」
二人を横目にささっとこちらに近づいてきた村雨はナツの腰を掻き抱いていた。
「あの二人ほっといて俺とそのBOX’Rのメンバーでプチ打ち上げ会しない?」
小さく呟いた村雨は、メンバーを促し退出しようとする。
しかし、その呟いた声を言い争う蓮と尚には聞こえてきた。
「あんた誰だかしんねぇ~けど、そいつは俺のもんだからちょっかい出すなよ!!」
「村雨君って言ったかな?君死にたいか?」
「なぜ・・・俺の名前を?そうか芸能界のトップが俺の名前を知ってるとは・・・・・有名になったもんだ!!ハリウッドも近いな?」
そう名前を蓮から呼ばれた村雨本人は、満面の笑みを浮かべ陽気に答えていたのだが、キョーコの腰を掻き抱いていた腕をつかまれてその男たちにキョーコに近ずく危険人物として捕らわれていた。
「ねぇナツ、これってなんか面倒くさくなぁい?」
「そうかしら?私を巡っての男達の言い争いもなかなか面白いと思うけど・・・・」
「でも・・・・凄い事になったわね?ナツは、誰を選ぶの?」
「え?私を楽しませた人にしようかしら?」
「でも、このこと誰かに知られたりスクープされたら私達やばくない?」
「確かに・・・・・そうかもしれないわね?」
「ねーナツこうなったら私達だけで逃げない?凄くウザいし、この有名な男二人だと私達って噂になりでもしたらつぶれる可能性あるわよね?」
「ん~確かにそうね?ちょっとウザいかも?」
と言いながらも少しずつ少しずつグループは3人の男たちから距離を開けていく。
内心は、今帰ったら後から敦賀さんのお怒りを買い大魔王が出現すると思い何もできないでいた。
けれど、こうしていても埒が明かないのである。
万が一にも敦賀さんが、自分をこの二人から守るためとはいえ、『女性後輩を守ってトラブル』という如何わしい女性関係のスクープになりえないかと内心びくびくとしていたのである。
(例え、私自身がどうあれ、敦賀さんの足を引っ張ることだけはあってはならない)
もし今、離れたとして、男同士なら何の問題もない。
普通に後輩指導をしていたということになりクリーンなイメージが保たれるのである。
そんなこともあり、キョーコは「あとで謝罪をしたほうがまだ良いわよね?」と思い少しずつ少しずつ言い争いをする男3人と離れていった。
そして村雨が振り向いて告げたのである。
「ねぇ~京子さん誰とペアくみたい?あれ?京子さん?」
忽然と消えていたメンバーに3人3ようにパートナー獲得することに夢中になっていた。
想い人は風のように去りぬ・・・・・蓮サイド
まさか、到着するなり不破が絡んできているシーンに出くわすとは。
近づいていくと、不穏な空気がピリピリと伝わってくる。
何かの言い争いの声が聞こえて、その声の人物の一人が最上さんだとという事が解った。
その時、聞こえてきた言葉に耳を疑うことになった。
「んなわけあるかぁ~~~~~!!!!今度は俺様が似合いのドレス贈ってやろうって思ってるから俺をパートナーにしろよ?いや・・・・・どうせお前みたいな色気のねぇー女にパートナーになろうっていう男なんざ俺しかいねぇだろ?だから俺が、パートナーなってやるよ?感謝しろよな?」
「はぁ?あんた何言ってんの?どうして無関係のあんたとパートナー組まなきゃいけないのよ!!」
「いや!!打ち上げパーティーの会場で歌を歌うことになったから!!無関係なんていわせねぇ~!!」
蓮はその様子を、陰からじっと見つめていた。
その様子は、眉間に皺を寄せて表情に出るほどだった。
何故・・・・・BOX’Rとは関係の無い不破が歌を歌うことになっているのか?
そして、どうしてパートナーという話になっているのかが解らない。
捩じ込んだであろうことは窺えるが。
あれだけの番組だ。
多くの取材陣が来るだろうことを見越して、スポンサーにゴリ押ししたんだろう。
ならば、不破なんかより俺が出たほうが、スポンサーも喜ぶんじゃないか?
(汚い手と言われようが絶対に出てみせる!!
なんてったって俺がモデルウォークを最上さんに教えたのだから!!)
「待ってナツ!!ちょうどいいんじゃない?」
なんてことを言うのかと思った。
これでは、不破に盗られてしまうという焦りから苛々して柱の陰から飛び出した。
背後から忍び寄り5人が立っている場所へそろりそろりと近づいていく。
そして、始まった最上さんのパートナー争奪戦が・・・・・後から来た村雨も交えて<繰り広げられ、言い争いの努力も虚しく、決着がつかぬまま話が振り出しに戻ったとき、間の抜けた村雨の声が響いた。
「ねぇ~京子さん誰とペアくみたい?あれ?京子さん?・・・・・・・うわーーーせっかく京子さんのスケジュール調べたのに!!」
慌てて振り返ると、誰もいなくなっていた。
「え?最上さん?」
まさか約束した筈なのに。
いや強引に約束させたんだけど、挨拶も無しに帰るとは思わずにいた。
彼女らしくない。
いや待て、彼女らしい?
今の彼女は、彼女じゃないナツじゃないかと思い大きな溜息をついた。
そのあと何度かけても最上さんが電話に出る事は無かった。
電源を切ってるんだろうな。
そして俺は最上さんと一緒に居られないことにがっかりしながら帰宅した。
しかし、それでもパートナーの座は諦めることができなかった。
打ち上げパーティーへ続く
幸せの押し売り・・・・キョーコサイド 後編
世間一般ではなんて幸せな構図なのだろう?
地味で色気のない私に対して、パーティーに着るドレスを巡って口論をする男達がわんさとあらわれるとは思わなかった。
そんな価値など私にはあると思えないのに・・・・。
綺麗なドレスが着れて、ナッちゃんとして大人美人になれることはとてもうれしい。
だけど、純潔をつらぬくと言った以上、パートナーを作って良いものか解らないでいる。
駐車場では依然牽制しあう二人と、そこに更に村雨も加わっていた。
ナツは、その様子を冷ややかに微笑みながらその男達を見つめていた。
「何で敦賀さんが、こいつのパートナーになることになってんだよ?関係ねぇ~だろ?」
「いや関係なくないね?仮にも、LMEの事務所の先輩だし後輩の面倒を見るのは普通だろう?それに、ナツのモデルのウォーキングを手取り足取り家で教えたからね?」
「なっ!?」
「お前だって関係ない筈だ・・・・お前はBOX’Rに出演していない」
「敦賀さんには関係ないのでね?」
二人を横目にささっとこちらに近づいてきた村雨はナツの腰を掻き抱いていた。
「あの二人ほっといて俺とそのBOX’Rのメンバーでプチ打ち上げ会しない?」
小さく呟いた村雨は、メンバーを促し退出しようとする。
しかし、その呟いた声を言い争う蓮と尚には聞こえてきた。
「あんた誰だかしんねぇ~けど、そいつは俺のもんだからちょっかい出すなよ!!」
「村雨君って言ったかな?君死にたいか?」
「なぜ・・・俺の名前を?そうか芸能界のトップが俺の名前を知ってるとは・・・・・有名になったもんだ!!ハリウッドも近いな?」
そう名前を蓮から呼ばれた村雨本人は、満面の笑みを浮かべ陽気に答えていたのだが、キョーコの腰を掻き抱いていた腕をつかまれてその男たちにキョーコに近ずく危険人物として捕らわれていた。
「ねぇナツ、これってなんか面倒くさくなぁい?」
「そうかしら?私を巡っての男達の言い争いもなかなか面白いと思うけど・・・・」
「でも・・・・凄い事になったわね?ナツは、誰を選ぶの?」
「え?私を楽しませた人にしようかしら?」
「でも、このこと誰かに知られたりスクープされたら私達やばくない?」
「確かに・・・・・そうかもしれないわね?」
「ねーナツこうなったら私達だけで逃げない?凄くウザいし、この有名な男二人だと私達って噂になりでもしたらつぶれる可能性あるわよね?」
「ん~確かにそうね?ちょっとウザいかも?」
と言いながらも少しずつ少しずつグループは3人の男たちから距離を開けていく。
内心は、今帰ったら後から敦賀さんのお怒りを買い大魔王が出現すると思い何もできないでいた。
けれど、こうしていても埒が明かないのである。
万が一にも敦賀さんが、自分をこの二人から守るためとはいえ、『女性後輩を守ってトラブル』という如何わしい女性関係のスクープになりえないかと内心びくびくとしていたのである。
(例え、私自身がどうあれ、敦賀さんの足を引っ張ることだけはあってはならない)
もし今、離れたとして、男同士なら何の問題もない。
普通に後輩指導をしていたということになりクリーンなイメージが保たれるのである。
そんなこともあり、キョーコは「あとで謝罪をしたほうがまだ良いわよね?」と思い少しずつ少しずつ言い争いをする男3人と離れていった。
そして村雨が振り向いて告げたのである。
「ねぇ~京子さん誰とペアくみたい?あれ?京子さん?」
忽然と消えていたメンバーに3人3ようにパートナー獲得することに夢中になっていた。
想い人は風のように去りぬ・・・・・蓮サイド
まさか、到着するなり不破が絡んできているシーンに出くわすとは。
近づいていくと、不穏な空気がピリピリと伝わってくる。
何かの言い争いの声が聞こえて、その声の人物の一人が最上さんだとという事が解った。
その時、聞こえてきた言葉に耳を疑うことになった。
「んなわけあるかぁ~~~~~!!!!今度は俺様が似合いのドレス贈ってやろうって思ってるから俺をパートナーにしろよ?いや・・・・・どうせお前みたいな色気のねぇー女にパートナーになろうっていう男なんざ俺しかいねぇだろ?だから俺が、パートナーなってやるよ?感謝しろよな?」
「はぁ?あんた何言ってんの?どうして無関係のあんたとパートナー組まなきゃいけないのよ!!」
「いや!!打ち上げパーティーの会場で歌を歌うことになったから!!無関係なんていわせねぇ~!!」
蓮はその様子を、陰からじっと見つめていた。
その様子は、眉間に皺を寄せて表情に出るほどだった。
何故・・・・・BOX’Rとは関係の無い不破が歌を歌うことになっているのか?
そして、どうしてパートナーという話になっているのかが解らない。
捩じ込んだであろうことは窺えるが。
あれだけの番組だ。
多くの取材陣が来るだろうことを見越して、スポンサーにゴリ押ししたんだろう。
ならば、不破なんかより俺が出たほうが、スポンサーも喜ぶんじゃないか?
(汚い手と言われようが絶対に出てみせる!!
なんてったって俺がモデルウォークを最上さんに教えたのだから!!)
「待ってナツ!!ちょうどいいんじゃない?」
なんてことを言うのかと思った。
これでは、不破に盗られてしまうという焦りから苛々して柱の陰から飛び出した。
背後から忍び寄り5人が立っている場所へそろりそろりと近づいていく。
そして、始まった最上さんのパートナー争奪戦が・・・・・後から来た村雨も交えて<繰り広げられ、言い争いの努力も虚しく、決着がつかぬまま話が振り出しに戻ったとき、間の抜けた村雨の声が響いた。
「ねぇ~京子さん誰とペアくみたい?あれ?京子さん?・・・・・・・うわーーーせっかく京子さんのスケジュール調べたのに!!」
慌てて振り返ると、誰もいなくなっていた。
「え?最上さん?」
まさか約束した筈なのに。
いや強引に約束させたんだけど、挨拶も無しに帰るとは思わずにいた。
彼女らしくない。
いや待て、彼女らしい?
今の彼女は、彼女じゃないナツじゃないかと思い大きな溜息をついた。
そのあと何度かけても最上さんが電話に出る事は無かった。
電源を切ってるんだろうな。
そして俺は最上さんと一緒に居られないことにがっかりしながら帰宅した。
しかし、それでもパートナーの座は諦めることができなかった。
打ち上げパーティーへ続く
打ち上げパーティーのパートナー争奪戦
幸せの押し売り・・・・キョーコサイド 前篇
「あの、最上さん・・・・・今の子とどこか行くの?なら俺がいろんな所へ連れてってあげるから、そこで待ってて」
そう大先輩から言いきられ、無視するわけにもいかずに暫く撮影所の駐車場で敦賀さんを待ってみることにした。
傍から見れば、一後輩が大先輩の敦賀さんを足に使うことに他ならない。
だから、断るべく来るまでそこにいるつもりでいた。
ショータローと敦賀さんを鉢合わせさせたくないと思っていても、都合が悪い事は起きるもの・・・・・・刻一刻と二人が相対する時間が迫っていた。
『BOX’R』のメンバーのいる場所へスタジオで喚き散らすという騒動を起こしていたショータローは、迷惑を顧みず駐車場まで付いてきていた。
なんてしつこいなと思うけれど、どうする事も出来ないと判断し無視を決め込む。
「待てよキョーコ!!」
(まったく!!バカショーがぁ~)
キョーコは、その煩わしい幼馴染を突き放すために、彼の癇に障るであろう返事を選んだ。
そうすることでプライドを叩き潰たい思ったのかもしれない。
撮影所からずっと付き纏い、邪険にしても帰る様子もない。
そして、キョーコが靡かないのが気に入らないのか、横柄な態度で馬事雑言を並べ立てているのだ。
今までのキョーコなら噛みついていたのかもしれないが、どうしたってこの幼馴染は治るはずもないのだ。
その様子にキョーコは≪ふぅーっ≫と溜息をついて辟易し、告げたのである。
「不破ショータローさんついてこないで下さいます?」
「その名前で呼ぶなっつってんのが解んねぇーのかよ!!ちやほやされて頭まで腐っちまったんじゃねぇーのか?!」
ナツのメンバーの3人はユミカを除いてその間の抜けた名前に唖然として佇んでいた。
ユミカ役のチオリはラブミー部3号たる所以なのかキョーコに奏江同様詳細を聞いていた為、冷酷な瞳で喚き散らす男を見つめていた。
「どう言う事ナツ?この、俺様アーティスト名前って『不破尚』じゃなかったかしら?」
「あらカオリに教えてなかったかしら?このなんちゃってアーティスト気取り男は、本名がショータローっていうのよ!!松竹梅の松と書いて次に太郎と書く恥ずかしいほど似合う名前だと思わない?」
「「ぶっ!!」」
「確かに・・・・・・なかなかいいネーミングよね?それで売り出せばよかったのにそしたら、ストーカーという行為に対しても箔が付くんじゃないかしら?」
カオリに続きツグミも爆笑しながら、涙を浮かべていた。
そんな時だった。
一台の高級車が駐車場に乗り入れてきた。
しかし、どういうわけかそれに4人は気づかず、不破尚を蟻に見立てつついて遊んでいた。
「キョーコ、俺が良い店知ってるからその3人とも連れてってやるから来いよ!!」
「結構よ!これから人と待ち合わせだから!」
「大事な話なんだよ!!」
「何かしら?」
「打ち上げパーティーあんだろ?」
「それが何?あんたに関係のない話でしょう?」
何を考えていたのかが解らないが、キョーコがショータローを見ると顔を強張らせて蓮の大魔王を彷彿させるような恐ろしい形相をした。
「んなわけあるかぁ~~~~~!!!!今度は俺様が似合いのドレス贈ってやろうって思ってるから俺をパートナーにしろよ?いや・・・・・どうせお前みたいな色気のねぇー女にパートナーになろうっていう男なんざ俺しかいねぇだろ?だから俺が、パートナーなってやるよ?感謝しろよな?」
「はぁ?あんた何言ってんの?どうして無関係のあんたとパートナー組まなきゃいけないのよ!!」
「いや!!打ち上げパーティーの会場で歌を歌うことになったから!!無関係なんていわせねぇ~!!」
「何を勝手な!!」
そのやり取りを大魔王と化しながら後ろで聞き続けている蓮がいるだなんて、その場の誰も気づく筈がなく。
蓮が背後から嫉妬の矢をうん千本放ちまくろうとも、尚いじりに集中する『BOX’R』のメンバー4人には伝わらず、尚とナツグループの話しは続いていく。
「待ってナツ!!ちょうどいいんじゃない?」
駐車場にカオリの了承を許すような声が響いた瞬間、蓮は潜んでいた物陰から姿を現した。
内心は焦りながらも、表面上は似非紳士スマイルを浮かべて。
「不破君!君のは必要ないから。今度は俺が仕立てることになってるからね…」
駐車場内に響く低音の美声を聞き、振り返ると・・・・・・凍りつきそうな眼差しで口角を上げて笑みを形作っている蓮が立っていた。
「え?ええぇ?えええええええ?ナツ・・・・・ひょっとしてさっきの電話って・・・・・・・」
慌てふためいたカオリは、キョーコと蓮を交互に見比べていた。
ツグミはうっとりと蓮を見つめ、今にもくっついていきそうな雰囲気を漂わす。
そして、事情を知るるチオリは『また馬鹿男が現れたか…』と、うんざりとした面持ちで蓮を見ていた。
そこへ、間の抜けた村雨の声が響いてきた。
「おぉっ!?ナイスタイミング~~~~京子さんがいる!!」
キョーコを巡る戦いのゴングが鳴り響いたのは、この時、この瞬間であった。
打ち上げパーティーのパートナー争奪戦
後編へつづく
幸せの押し売り・・・・キョーコサイド 前篇
「あの、最上さん・・・・・今の子とどこか行くの?なら俺がいろんな所へ連れてってあげるから、そこで待ってて」
そう大先輩から言いきられ、無視するわけにもいかずに暫く撮影所の駐車場で敦賀さんを待ってみることにした。
傍から見れば、一後輩が大先輩の敦賀さんを足に使うことに他ならない。
だから、断るべく来るまでそこにいるつもりでいた。
ショータローと敦賀さんを鉢合わせさせたくないと思っていても、都合が悪い事は起きるもの・・・・・・刻一刻と二人が相対する時間が迫っていた。
『BOX’R』のメンバーのいる場所へスタジオで喚き散らすという騒動を起こしていたショータローは、迷惑を顧みず駐車場まで付いてきていた。
なんてしつこいなと思うけれど、どうする事も出来ないと判断し無視を決め込む。
「待てよキョーコ!!」
(まったく!!バカショーがぁ~)
キョーコは、その煩わしい幼馴染を突き放すために、彼の癇に障るであろう返事を選んだ。
そうすることでプライドを叩き潰たい思ったのかもしれない。
撮影所からずっと付き纏い、邪険にしても帰る様子もない。
そして、キョーコが靡かないのが気に入らないのか、横柄な態度で馬事雑言を並べ立てているのだ。
今までのキョーコなら噛みついていたのかもしれないが、どうしたってこの幼馴染は治るはずもないのだ。
その様子にキョーコは≪ふぅーっ≫と溜息をついて辟易し、告げたのである。
「不破ショータローさんついてこないで下さいます?」
「その名前で呼ぶなっつってんのが解んねぇーのかよ!!ちやほやされて頭まで腐っちまったんじゃねぇーのか?!」
ナツのメンバーの3人はユミカを除いてその間の抜けた名前に唖然として佇んでいた。
ユミカ役のチオリはラブミー部3号たる所以なのかキョーコに奏江同様詳細を聞いていた為、冷酷な瞳で喚き散らす男を見つめていた。
「どう言う事ナツ?この、俺様アーティスト名前って『不破尚』じゃなかったかしら?」
「あらカオリに教えてなかったかしら?このなんちゃってアーティスト気取り男は、本名がショータローっていうのよ!!松竹梅の松と書いて次に太郎と書く恥ずかしいほど似合う名前だと思わない?」
「「ぶっ!!」」
「確かに・・・・・・なかなかいいネーミングよね?それで売り出せばよかったのにそしたら、ストーカーという行為に対しても箔が付くんじゃないかしら?」
カオリに続きツグミも爆笑しながら、涙を浮かべていた。
そんな時だった。
一台の高級車が駐車場に乗り入れてきた。
しかし、どういうわけかそれに4人は気づかず、不破尚を蟻に見立てつついて遊んでいた。
「キョーコ、俺が良い店知ってるからその3人とも連れてってやるから来いよ!!」
「結構よ!これから人と待ち合わせだから!」
「大事な話なんだよ!!」
「何かしら?」
「打ち上げパーティーあんだろ?」
「それが何?あんたに関係のない話でしょう?」
何を考えていたのかが解らないが、キョーコがショータローを見ると顔を強張らせて蓮の大魔王を彷彿させるような恐ろしい形相をした。
「んなわけあるかぁ~~~~~!!!!今度は俺様が似合いのドレス贈ってやろうって思ってるから俺をパートナーにしろよ?いや・・・・・どうせお前みたいな色気のねぇー女にパートナーになろうっていう男なんざ俺しかいねぇだろ?だから俺が、パートナーなってやるよ?感謝しろよな?」
「はぁ?あんた何言ってんの?どうして無関係のあんたとパートナー組まなきゃいけないのよ!!」
「いや!!打ち上げパーティーの会場で歌を歌うことになったから!!無関係なんていわせねぇ~!!」
「何を勝手な!!」
そのやり取りを大魔王と化しながら後ろで聞き続けている蓮がいるだなんて、その場の誰も気づく筈がなく。
蓮が背後から嫉妬の矢をうん千本放ちまくろうとも、尚いじりに集中する『BOX’R』のメンバー4人には伝わらず、尚とナツグループの話しは続いていく。
「待ってナツ!!ちょうどいいんじゃない?」
駐車場にカオリの了承を許すような声が響いた瞬間、蓮は潜んでいた物陰から姿を現した。
内心は焦りながらも、表面上は似非紳士スマイルを浮かべて。
「不破君!君のは必要ないから。今度は俺が仕立てることになってるからね…」
駐車場内に響く低音の美声を聞き、振り返ると・・・・・・凍りつきそうな眼差しで口角を上げて笑みを形作っている蓮が立っていた。
「え?ええぇ?えええええええ?ナツ・・・・・ひょっとしてさっきの電話って・・・・・・・」
慌てふためいたカオリは、キョーコと蓮を交互に見比べていた。
ツグミはうっとりと蓮を見つめ、今にもくっついていきそうな雰囲気を漂わす。
そして、事情を知るるチオリは『また馬鹿男が現れたか…』と、うんざりとした面持ちで蓮を見ていた。
そこへ、間の抜けた村雨の声が響いてきた。
「おぉっ!?ナイスタイミング~~~~京子さんがいる!!」
キョーコを巡る戦いのゴングが鳴り響いたのは、この時、この瞬間であった。
打ち上げパーティーのパートナー争奪戦
後編へつづく
BOX’R撮影終了・・・・後悔後にも先にも立たず 蓮サイド
「っくそ!!」
蓮は、眉間に皺を寄せながら不機嫌を顕わにして小さく呟いた。
モデルウォークをキョーコに教えて以降モデルと言っても過言ではないほどのキレがある動きやスタンスを恐ろしい速度で習得していった。
もともと、所作が洗練されていたキョーコはナツのリアルな演技力も加わり人気沸騰した。
その噂が行く先々の俳優仲間にまでも、及ぶほどだったのである。
行く先々の男達から聞く、キョーコの女性としての評価に焦りと同時にちりちりと胸を妬けついていく。
まさか、このBJの撮影現場でもその女性としての評価を村雨の口から聞くことになろうとは思わずにいた。
丁度、撮影の休憩中に「京子」という言葉が聞こえ共演者と話ているらしい事が覗えたため、話し声に聞き耳を立てていた。
何時から京子の話が出ているのかが解らないが、狙っているような村雨の口調に対して、セツカに言い寄ろうとしていた時のように「懐くな!」と言うことも出来ないのだ。
村雨を含む共演者同士の会話は尚も続く。
「京子って凄いタイプなんだよなー?セッちゃんも良いかと思ったけど、やっぱり洗練されてるし、顔可愛いし、完璧な女の方が落とし甲斐あるよな?あの色っぽい顔見てると血が滾るってもんでしょう?あんな最高の女絶対抱きたくなるってもんだけど」
「へーお前ああいう女が、好きなんだ?でも体型が、寂しくないか?」
「確かにそうなんだけど、だからこそ育て甲斐があるってもんでしょう?俺好みに育てあげるのも良いかな?とか思うわけよ」
「確かになぁ~見た目従順そうな女だし浮気しなそうだしな~」
「そーなんだよー放置しても待っててくれそうじゃないか?」
その村雨の言葉に、蓮はBJを保つことすら出来ないほどの焦りを感じていた。
魅力的な彼女に「どうしてやろうか・・・・」という気にさせられる。
村雨は、セツカという架空の人物が好きだったはずだ。
だから・・・・・馬の骨にもならないと思い込んでいた。
こんな事なら、モデルウォークを教えなければよかった。
そう蓮は、葛藤を胸の奥で抱いていた。
(ずっと傍にいて、ずっと俺だけを見て、何も考えないで俺だけの為に生きて?)
と、彼女の可能性を潰す私情を挟んだ言葉が脳裏を掠めて消えていく。
冷静に考えれば、村雨にとってキョーコは会ったことも無い女でしかなく。
今後共演でもしない限り、村雨がキョーコに近づくチャンスなどないと思えた。
二人は知り合いでもなんでもないのだから。
不安要素を打ち消すように、自分にそう心の中で言い聞かせることで、燻り続ける想いを抑え込もうとしていた。
だがそんな想いとは裏腹に、村雨は既にとんでもない行動をとった後だった。
「実は昨日のうちに京子のスケジュール手に入れてるんだよね~~~~~~」
その村雨から語られる聞き捨てならない言葉を耳にした瞬間ゴクリと喉を鳴らした
LMEは様々な管理の行き届いた大手だと思っていたのに、大事なタレントのスケジュールを何処かから漏らしていた・・!?
それが本当なら、情報漏洩も甚だしい
多分、あの愛が全ての社長が手回ししたのかもしれない。
でなければそう簡単に流れるはずもない。
備に、情報に関しては裏の裏まで入ってくるのが大手の強みなのだから・・・・・。
噂の人物である京子のBOX’Rの撮影は、今日終わる。
俺は、村雨などに先を越される前に、手をまわそうと画策していた。
もうすでに馬の骨の筆頭が動いていることなど想像すらせずに。
震える手で携帯を持ちキョーコの番号を表示させた。
発信音の後、いつものように可愛らしい声が響く。
『はい最上です。お疲れ様です、敦賀さん!!』
「お疲れ様?今日でBOX’R終わりだよね?もし、よかったらお祝いをしたいんだけど!!」
『あの・・・・今日は予定がありまして、大変申し訳ございませんが・・・・・』
その時、キョーコの背後で誰かが話す声が響いてきた。
『なーに?ナツの彼氏?』
『何を言って?滅相もございません!!恐れ多いです!!』
『えーだれーだれだれ?』
むこうから聞こえる会話を遮り蓮は、矢継ぎ早に告げていた。
「あの、最上さん・・・・・今の子とどこか行くの?なら俺がいろんな所へ連れてってあげるから、そこで待ってて」
そうしなければ村雨がキョーコの所へ行くだろうと思い、キョーコからの否定を聞く前に電話を切った。
打ち上げパーティーパートナー争奪戦へ続く
「っくそ!!」
蓮は、眉間に皺を寄せながら不機嫌を顕わにして小さく呟いた。
モデルウォークをキョーコに教えて以降モデルと言っても過言ではないほどのキレがある動きやスタンスを恐ろしい速度で習得していった。
もともと、所作が洗練されていたキョーコはナツのリアルな演技力も加わり人気沸騰した。
その噂が行く先々の俳優仲間にまでも、及ぶほどだったのである。
行く先々の男達から聞く、キョーコの女性としての評価に焦りと同時にちりちりと胸を妬けついていく。
まさか、このBJの撮影現場でもその女性としての評価を村雨の口から聞くことになろうとは思わずにいた。
丁度、撮影の休憩中に「京子」という言葉が聞こえ共演者と話ているらしい事が覗えたため、話し声に聞き耳を立てていた。
何時から京子の話が出ているのかが解らないが、狙っているような村雨の口調に対して、セツカに言い寄ろうとしていた時のように「懐くな!」と言うことも出来ないのだ。
村雨を含む共演者同士の会話は尚も続く。
「京子って凄いタイプなんだよなー?セッちゃんも良いかと思ったけど、やっぱり洗練されてるし、顔可愛いし、完璧な女の方が落とし甲斐あるよな?あの色っぽい顔見てると血が滾るってもんでしょう?あんな最高の女絶対抱きたくなるってもんだけど」
「へーお前ああいう女が、好きなんだ?でも体型が、寂しくないか?」
「確かにそうなんだけど、だからこそ育て甲斐があるってもんでしょう?俺好みに育てあげるのも良いかな?とか思うわけよ」
「確かになぁ~見た目従順そうな女だし浮気しなそうだしな~」
「そーなんだよー放置しても待っててくれそうじゃないか?」
その村雨の言葉に、蓮はBJを保つことすら出来ないほどの焦りを感じていた。
魅力的な彼女に「どうしてやろうか・・・・」という気にさせられる。
村雨は、セツカという架空の人物が好きだったはずだ。
だから・・・・・馬の骨にもならないと思い込んでいた。
こんな事なら、モデルウォークを教えなければよかった。
そう蓮は、葛藤を胸の奥で抱いていた。
(ずっと傍にいて、ずっと俺だけを見て、何も考えないで俺だけの為に生きて?)
と、彼女の可能性を潰す私情を挟んだ言葉が脳裏を掠めて消えていく。
冷静に考えれば、村雨にとってキョーコは会ったことも無い女でしかなく。
今後共演でもしない限り、村雨がキョーコに近づくチャンスなどないと思えた。
二人は知り合いでもなんでもないのだから。
不安要素を打ち消すように、自分にそう心の中で言い聞かせることで、燻り続ける想いを抑え込もうとしていた。
だがそんな想いとは裏腹に、村雨は既にとんでもない行動をとった後だった。
「実は昨日のうちに京子のスケジュール手に入れてるんだよね~~~~~~」
その村雨から語られる聞き捨てならない言葉を耳にした瞬間ゴクリと喉を鳴らした
LMEは様々な管理の行き届いた大手だと思っていたのに、大事なタレントのスケジュールを何処かから漏らしていた・・!?
それが本当なら、情報漏洩も甚だしい
多分、あの愛が全ての社長が手回ししたのかもしれない。
でなければそう簡単に流れるはずもない。
備に、情報に関しては裏の裏まで入ってくるのが大手の強みなのだから・・・・・。
噂の人物である京子のBOX’Rの撮影は、今日終わる。
俺は、村雨などに先を越される前に、手をまわそうと画策していた。
もうすでに馬の骨の筆頭が動いていることなど想像すらせずに。
震える手で携帯を持ちキョーコの番号を表示させた。
発信音の後、いつものように可愛らしい声が響く。
『はい最上です。お疲れ様です、敦賀さん!!』
「お疲れ様?今日でBOX’R終わりだよね?もし、よかったらお祝いをしたいんだけど!!」
『あの・・・・今日は予定がありまして、大変申し訳ございませんが・・・・・』
その時、キョーコの背後で誰かが話す声が響いてきた。
『なーに?ナツの彼氏?』
『何を言って?滅相もございません!!恐れ多いです!!』
『えーだれーだれだれ?』
むこうから聞こえる会話を遮り蓮は、矢継ぎ早に告げていた。
「あの、最上さん・・・・・今の子とどこか行くの?なら俺がいろんな所へ連れてってあげるから、そこで待ってて」
そうしなければ村雨がキョーコの所へ行くだろうと思い、キョーコからの否定を聞く前に電話を切った。
打ち上げパーティーパートナー争奪戦へ続く
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